2016/09/30
ことばの力、高めるカギは
「第1回 現代人の語彙に関する調査」
(朝日新聞の記事より)
朝日新聞社とともに「語彙(ごい)・読解力検定」を主催しているベネッセコーポレーションは、「第1回 現代人の語彙に関する調査(語彙調査)」をまとめた。調査では、世代間の語彙の違いや語彙力の高い人の特徴が見えてきた。本や新聞を読むだけでなく、会話やSNSなどで実際に言葉を使うことが語彙力向上のカギといえそうだ。
「読み」「使う」人ほど豊か
調査は7月、高校生以上の3130人にインターネットで行った。辞書語彙、新聞語彙に最近の「新語」を加えた計540語について意味を知っているかどうか質問。回答者が対象の言葉のうち「知っている」と答えた割合(語彙力)を集計した。
語彙力が高い人に特徴的だったのは「読書」だ。1カ月の読書量(電子書籍を含む)について「10冊以上」と答えた人の語彙力は平均81.1%で、「全く読まない」と答えた人より23.1ポイント高かった。語彙力は読書量が多いほど高かった。
また、新聞やネットでニュースをよく読む人ほど、語彙力が高かった。紙の新聞の場合、ほぼ毎日読む人と読まない人では語彙力に15.6ポイントの開きがあり、ネットの場合も20.2ポイントの差があった。
一方、本や新聞を読むことによる言葉のインプットだけでなく、会話やSNSなどで言葉を実際に使うアウトプットによっても、語彙力には明確な差が出た。
高校生・大学生では、親と話す機会が「よくある」と答えた人の語彙力は67.8%で、「まったくない」と答えた人より10.5ポイント高かった。LINEやツイッターなどのSNSやメールを使う高校生・大学生も語彙力が高かった。
語彙力は個人の「幸福感」とも関係していた。自分がどのくらい幸せかを10点(とても幸せ)から0点(とても不幸)で自己採点してもらったところ、8~10点の人の語彙力は70.2%だったのに対し、3点以下の人は63.6%だった。
世代間ギャップ、背景にSNS
今回の語彙調査では、世代による語彙の違いも明らかになった。
高校生とその親世代(40~60代)で、対象となる言葉を知っている人の割合を比較。高校生の方が親世代より知っている割合が高い言葉には、「ディスる」「イミフ」「りょ」などの略語が並んだ。一方、親世代の方が知っている割合が高い言葉は、「阿漕(あこぎ)」「イデオロギー」「忌憚(きたん)」などで、難しい熟語が多かった。
調査に協力したベネッセ教育総合研究所の木村治生副所長は「SNSなどコミュニケーション手段が発達したことで、世代間の語彙の差は広がった」とみている。